はじめに

1980年に医師免許を取得後麻酔科に入局し、1987年頃から集中治療に携わり30年が経ちました。
宮崎医科大学の一期生のため、すべてが最初からでした。特に、集中治療領域には、先輩がいなかったため、試行錯誤で重症患者を診てきました。今回、ホームページの形で、30年間の、自分なりの医療についての考えを整理してみました。暇なときに、ご覧ください。

自分の戒めとして、以下の標語を考えました。

集中治療を担当すると、よく燃え尽き症候群の話が出ます。患者さんが病気から復帰していくのは、誰の力でしょうか。重症患者がよくなったとき、まわりの看護師さんは、「あの人は生命力があったわね」とよく言っています。その横で、医師連中は、自分たちががんばったから、よくなったんだと、おもっているでしょう。重症患者の治療について、10年前の経過表と現在のものを、比較したとき、前より、10時間速く治療方針を決めているようですが、治療していることは、さほど変わっていませんでした。しかし、生き死にはありました。なぜ、助かったんだろう。どうも、患者さんの生きる力が強いかどうかが決め手のようです。ですから、今、自分が考えられるすべてのことを、全員で確認し、治療を決めれば、あとは、患者さんしだいではないでしょうか。重症患者の経過は、12時間ごとに、検討する必要はあると思います。そこで、変化を見逃さず,取り組めばいいのではないでしょうか。経験を積むと、入院した時点で、その患者さんの予後が少し分かり始める気がします。ああ、あの人は、大丈夫だろう。この人は、ややもすると、だめかなとかです。また、消化器外科の救急患者の時、絶対に、術後感染は必発で、縫合不全も起こすと予想していて、まったく、問題なく、回復する人がいます。ここに、「思い込まない」という気持ちが大事と考えています。1日、やるだけのことをやり、考え抜けば、家に帰って、ゆっくりするべきでしょう。次に備えるために。燃え尽きることはありません。

見逃さない、ミスをしない、思いこまない

 

   様々な症例を思いつくまま提示しました。

20年前の写真のネガスライドから掘り起こしたものは、絵が不鮮明です。