21日間の無尿でもあきらめない

 

 

重症患者の治療では、多臓器が障害されている場合が多いです。心臓に問題があると、不可逆な状態が続けば、生存期間が25日程度と思われます。また、単独に呼吸器系が傷害されていると、数ヶ月は大丈夫と思われます。しかし、腎障害が全面にあると、話は変わるでしょう。糸球体が傷害され、慢性腎不全の透析患者の場合、おおむね低血圧があり、透析が回せませんでした。今では、血液濾過、濾過透析という血液浄化法が一般化していますが、1992年までは、透析しかなく、多くの重症患者が死にました。
現在、血液浄化法で、生存期間が大幅に伸びていると思いますが、無尿期間が21日以内で、尿細管の再生がうまくいき自尿があれば、救命できるでしょう。しかし、重症患者で、無尿のため、透析に乗せた場合、果たして、その後、生存できるでしょうか。自分の経験では、疑問です。おそらく、透析患者になって、1年以上の生存は厳しいと思います。1990年代ですが、腎不全から救命できた症例を供覧します。

敗血症ショックで、無尿と血小板数が1万以下のため、血液浄化法が適用できないと判断し、大量輸液療法と昇圧薬投与で、血圧を維持し、5日目に自尿があり救命できた症例

 

ノルアドとドブタミンの使い方に注意しました。
ドブタミンを使用して、頻脈と低血圧になれば、ノルアドに変更。前提として、CVPが10以上になるよう、大量輸液を行い、その時点で、昇圧薬を選択しました。もし、血液浄化法が適用できるなら、話は変わったと思います。

 

血圧のモニターは、マンシエット圧がよいでしょう。