連合野

 

このページは、文字だらけでおもしろくないかもしれません。わからないことが多いです。残念です。

ところで、人は、大昔から、まわりの環境から、多くの刺激を受けいれて、生活してきました。

アリストテレスの時代から、五感とは、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚と言われ、まわりの刺激を受け入れて、感じることです。現在、とくに触覚で代表されている皮膚感覚は,痛覚、触・圧覚,温覚,冷覚,振動感覚などが区別され,そのほか位置および運動感覚,平衡感覚なども感覚の種とみなされています。

7番で、話した大脳の皮質には、これらに対応した中枢があり、大きく分類して、運動野、感覚野、聴覚野、視覚野があります。

さて、ここでは、連合野について説明します。

ヒトは、ほかの動物と違って、連合野という、上述した運動野、感覚野、聴覚野、視覚野を除いた新皮質領域が発達しています。

また、ヒトでは新皮質領域の神経線維の髄鞘化(無髄から有髄神経になる)も、脳内で最も遅れて完成します。

連合野は、3つあります。頭頂連合野、側頭連合野と前頭連合野です。

 

連合野の役割は、視覚野、聴覚野、体性感覚野などから各種の感覚情報を受け取って統合します。また、感覚情報や記憶に基づいて行動計画をたてます。

当ホームページの「脳の構造1」で、新皮質の脳細胞は6層になっていると記載しました。発生の途中で、必ず一度、6層全層が存在する時期があります。その後、運動野は4層(顆粒細胞層)が菲くなり、ほとんど消失し、5層の錐体細胞が発達します。

感覚野は4層が発達し、この層に感覚情報が入ります。

一方、感覚野、運動野以外の新皮質では、1層から6層まで、ほぼ平等に存在します。

この新皮質では、神経繊維周囲の絶縁物質の形成が、感覚野、運動野よりもゆっくりと起こります。また、感覚野と運動野の間に存在し、動物が高等になるにつれて広くなる特徴があります。これを連合野としました。

頭頂連合野の障害

右頭頂葉の障害患者が、左側の時計と建物を手本に、真似して書いた絵が右側です。            

時計の左側の数字がなく、建物も右半分しか書かれていません。

 

 

 

 

 

横線も、二等分したはずが、右に偏っています。

 

 

これが、半側空間無視という症状です。

また、下の絵のように、船、車、飛行機の位置がわからない視覚性失見当がおこります。頭頂葉全体の障害によるもののようです。

 

側頭連合野の障害

物体失認

ものが見えているにもかかわらず、そのものが何であるかわからない。

相貌(そうぼう)失認

知っている人物や有名人の顔を見ても、だれであるかがわからない。

 

聴覚失認

まわりの音は聞こえるが、その音が何の音かはわからない。

 

失音楽症

音楽のメロデイーやリズムが了解できない。

 

前頭連合野の障害

前頭連合野は、目標とその計画をたて、効果的にやり遂げる能力に関係しています。

性格や社会性にも関係しています。感情をコントロールするところでもあります。

障害した場合、考え方を柔軟に切り替えることができない、次から次に、物事をやり遂げることができなくなるようです。

感情がコントロールできず、気まぐれで、移り気、傲慢(ごうまん)な性格にかわるようです。

 

運動について

ヒトは、さまざまな行動をおこして、まわりに働きかけることで、いろいろな目的をとげています。

 ヒトは熱い、冷たい、痛い等いろいろなことを体で感じたり、目や耳を使って物を見たり、音を聴いたりできます。感覚というのはいろいろな外からの刺激を体の特定の器官が感じとり(感覚受容器)、認識することです。感覚は大きく分類すると下記のように分類されます。

(1)体性感覚: 表面感覚(皮膚感覚)と深部感覚を合わせて体性感覚といいます。表面感覚には触覚(触れた感じ)、圧覚(押さえられた感じ)、温覚(暖かさ)、冷覚(冷たさ)、痛覚(痛さ)があります。深部感覚には運動感覚、深部痛が含まれます。
(2)内蔵感覚: 臓器感覚(吐き気など)、内臓痛が含まれます。 
(3)特殊感覚: 視覚(目で見る)、聴覚(耳で聞く)、味覚、嗅覚、前庭感覚(平衡感覚)が含まれます。

1.人間は、まず、外界や身体内部の状態を考え、状況に応じて目的達成のための行動を選択します。

2.その行動を実現するために必要な運動のパターンを組み立てます。どのような運動を、どの順序で、どのタイミングで行うか。(プログラミング)

3.実際に、そのプログラムに基づいて運動を実行します。

4.実行中の運動や運動の結果を点検して、修正します。

運動のプログラミング・実行・調節は、下図のような大脳皮質運動野、大脳基底核、小脳、脳幹、脊髄が行っています。これらは、5つの運動中枢です。

運動の制御

大脳には、複数の運動野(運動前野、補足運動野、前補足運動野、帯状皮質運動野)という高次運動野があります。感覚野や前頭連合野から、様々な感覚情報や認知的な情報を受け取ります。この領域の障害では、麻痺にならず、運動がうまくできなくなります。

一次運動野については、「大脳皮質の役割」を見てください。この領域が障害されると、ホルンクルスのこびとにあるように、ある皮質に対応した筋肉の動きがなくなり、麻痺(まひ)します。

運動野の3つの特徴

1.四角で囲んだ高次連合野、一次運動野を合わせた大脳皮質運動野から、下部にある脳幹、脊髄に、運動するための信号が流れていきます。つまり、建物のように、運動野、脳幹、脊髄に部署がはっきりと分かれ、上に向かっては、信号は流れません。階層構造といいます。
左のアニメで、一次運動野から脳幹に連絡する経路は、皮質延髄路といいます。一次運動野から脊髄に連絡する経路は、皮質脊髄路になります。ともに、脳幹を経由します。
これについては、脊髄と錐体路のコーナーで、説明します。

2.各々の運動中枢内には、顔、上肢、下肢などの領域があります。たとえば、運動中枢の間では、運動野の上肢に関わる領域は、脊髄の上肢運動ニューロンに連絡し、決して、下肢のニューロンに連絡しません。このことを、体部位局在性といいます。

 

3.各々の運動中枢には、感覚情報が入っています。脊髄には、筋や腱、皮膚などで感じた情報が入ります。脳幹や小脳へは、体性感覚情報に加えて、平衡感覚情報も入ります。運動野では、感覚連合野から視覚や聴覚などの情報も入ります。

脊髄や脳幹には、骨格筋へ出力を送る運動ニューロンがあります。どの運動も、必ず、運動ニューロンから筋へ指令が飛ぶため、この経路を最終共通経路と呼びます。また、脊髄や脳幹には、反射という回路があります。脳幹は、脊髄への神経回路を介して、脊髄を調節し、姿勢や歩行をコントロールしています。

2番について、たとえば、脊髄の後根を切断したサルでは、運動を円滑にできません。体部位局在性が壊れた場合です。

下のアニメで、見てください。

下のアニメで、高次運動野の運動前野と補足運動野を示しました。前頭連合野や各種の感覚連合野からの信号は、この運動前野と補足運動野にはいり、一次運動野や脊髄に送られます。

高次運動野を電気刺激すると、運動が生じます。補足運動野では、前から後ろに向かって、顔、上肢、下肢の運動があります。運動前野では、内側から外側へ向かって、下肢、上肢、顔の運動が生じます。一次運動野と比べて、運動誘発のためには、強い刺激が必要で、運動も複雑なものです。高次運動野が障害されると、麻痺でなく、運動がうまくできません。

補足運動野が障害すると、発語が減り、自分から進んで運動しません。動かすことはできますが、しません。一定のリズムで楽器をたたけません。手指と肩や肘を同時に動かすことなどができません。

一次運動野と異なる高次運動野の特徴

単純な運動であまり活動せず、複雑な順序立てた運動で活動します。
補足運動野では、脳に記憶された情報に基づいて運動するとき、運動前野は視覚情報に基づいて運動を行うときに、より活動します。
次に行うべき運動を準備しているときや、複雑な順序立てた運動を頭の中で、イメージしたときに活動します。
最近では、相手の動作を見たときに運動前野が活動します。動作を理解したり、相手とのコミュニケーションに関係しているらしいです。