おかあさんのおなか(子宮)の中に入り立ての赤ちゃんは、おかあさんから栄養をもらえません。
なぜなら、胎盤(たいばん)がないから、おかあさんから栄養がもらえません。
そこで、卵黄嚢という栄養がつまったふくろを持っているのです。
赤ちゃんの弁当箱ですね。
卵黄嚢(らんおうのう)
腹部エコーで見た実際の映像(えいぞう)です。
矢印で示しています。
袋状に見えるのが胎嚢(たいのう)といって赤ちゃんが入っている袋です。青でかこったものです。大きさは約2.3cmです。
矢印でしめしたものが卵黄嚢で、大きさは約5mmです。子宮で育って6週目ぐらいでしょう。
お腹の大きな動脈の周辺にあるAGMという場所でも赤血球は作られます。
おかあさんの子宮で育って、まだ5〜7週の子供では、AGMはわかりにくいものです。
そこで、左の絵は11週目の胎児の漫画を示しました.。
およその位置ですが、AGMがあるそうです。
5〜7週目までの赤ちゃんには、血小板と白血球は、ありません。
5週〜7週目以降、じょじょに何かが変わり始めます。
赤血球、白血球と血小板のもとである造血幹(ぞうけつかん)細胞
が、肝臓に現れはじめます。しかし、まだ赤血球は肝臓でなく卵黄嚢とAGMで作られます。
一方、10週を過ぎると、お母さんと胎児を結ぶ
胎盤を通して、お母さんから子供に栄養がじょじょに運ばれます。
卵黄嚢の仕事は終わり、消えていきます。
下の写真は約10週目の赤ちゃんです。

黄色で囲まれたものが胎盤(たいばん)
赤が使われなくなった卵黄嚢
約8cmの袋の中に、赤ちゃんが見えてきました。
青が胎児(あかちゃん)です。約2.6cmの大きさです。

以後、胎盤を通じてママから酸素や栄養をもらって成長していきます。
そのころから、栄養バランスの偏りや、喫煙が胎盤をとおして赤ちゃんにも影響します。

10〜24週の胎児の肝臓
卵黄嚢とAGMから造血幹細胞が血液をかいして肝臓に移動し、肝臓で赤血球、白血球と血小板が作られます。

左の赤ちゃんは、子宮で育って17週目頃です。
赤でかこったものが肝臓です。
卵黄嚢とAGMから造血幹細胞が移動し、肝臓に定着します。

赤ちゃんの心臓は5週目で動き始めますが、15〜17週目から、心臓の4つの部屋がエコー検査で見えるようになります。
24週目以降、肝臓から骨髄 に造血幹(ぞうけつかん)細胞が移動します。

主に大きな骨(ほね)に、造血幹細胞が移動します。

おかあさんの体から、生まれ出たとき、大事な細胞は固い骨で守られるのでしょう。

25週目の赤ちゃん
骨髄
赤色骨髄
赤血球、白血球と血小板を作る作用を営んでいるものは赤い色を呈しているので赤色骨髄。
7歳くらいまでの子供の骨髄は、全て赤色骨髄。
黄色骨髄

成長とともに造血作用を失ったものは黄色をしているので黄色骨髓。大人では体幹の骨か上腕骨・大腿骨の近位端(体幹に近い部分)が一生涯赤色骨髓である。
赤血球の形はどのようになっているでしょう?
名古屋大学博物館の資料をお借りしました。
赤ちゃんが21mmの大きさになるまで、赤血球には核(かく)があります。
63mmになると、核が無くなります。
胚(はい)とは、赤ちゃんが非常に小さいときを指します。
http://www.num.nagoya-u.ac.jp/display/embryo/index.html
ヒト5mm胚の血球
核(色の濃い部分)がある
ヒト10mm胚の血球
核(色の濃い部分)がある
ヒト21mm胚の血球
核(色の濃い部分)がある
ヒト63mm胎児赤血球
核(色の濃い部分)がない
ヒト成人赤血球
核(色の濃い部分)がない
ラット赤血球
核(色の濃い部分)がない
ヒトの血液は初めは卵黄の中で作られ、その後、脾臓や肝臓で作られるようになり、 最後に骨髄で作られるようになります。
赤血球は骨髄で作られるようになって初めて、 核を捨てることができ(脱核)、無核のふだん、目にするような形になります。
他の動物の赤血球はどうでしょう?
カエルの赤血球
核がある
ニワトリの赤血球
核がある
ヒト成人の赤血球
核がない
赤血球に核がない動物は哺乳類だけです。 カエルなどの両生類や鳥類などでは脱核がありません。哺乳類では体の隅々まで多くの酸素を運ぶため、 大きさを小さくして表面積の割合を大きくしました。 また、不必要な核を捨てて,細胞の特殊化が進みました。