試験管(しけんかん)の中の血液(けつえき)は、
なにもせずそのまま約1時間置いた場合、どうなるだろう。
ドアをノックしてみよう。
試験管の中では、黄色の液体と赤い固形物に分かれていますね。
 
黄色の液体は、血清(けっせい)といいます。字の通り、清んだ血を表します。赤い固形物には、赤血球、白血球、血小板が含まれています。これを血餅(けっぺい)と言います。字の通り、餅(もち)のような血です。
試験管のなかの血液をこぼしてみます。すると、どうなるかな??????
わんちゃんをクリックしてみよう。
固まり(血餅)ができていますね。なぜだろう。
血が固まらない薬を入れた血液(けつえき)はどうなるだろう。

わんちゃんをクリックしてみよう。

黄色の液体と赤い固形物の間に、白い膜(まく)のようなものがあります。ここには、血小板と白血球が集まっています。白血球が白いといわれますが、この白さを指しています。
 
液体の部分は、血漿(けっしょう)と言います。もう一度、試験管を振(ふ)ると、血液はもとのように、濁(にご)ります。 使われずに、血小板が白い部分に残っていますから、血は固まりません。
血小板って何だろう??
血小板(けっしょうばん, platelet)は、血液に含まれる細胞成分の一つです。
血管が損傷した時にその傷口をふさぎ、出血を止める作用があります。もし、血が止まらないと、私たちは死んでしまいます。
 
血小板は骨髄(こつずい)中の造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)が巨核芽球になり、次に巨核球(巨大核細胞)になった後、巨核球の細胞質がちぎれたものです。
 
そのため細胞質のみから構成されており核を持たず、また形も不定形です。
造血幹細胞とは、何だろう??

白血球、赤血球と血小板も、この造血幹細胞からできます。
つまり、骨髄(こつずい)というところで、この細胞から、3種類のものができるのです。白血球、赤血球と血小板のもとは、同じ細胞です。
血小板1つ1つの大きさも一般の細胞よりはずっと小さい。
通常の血液中には、10万〜40万個/mm3程度含まれています。
寿命は3〜10日であり、寿命が尽きると主に脾臓(ひぞう)という臓器(ぞうき)で破壊されます。
血液が固(かた)まるのはどこでしょうか。
傷ついた血管のまわりで、血は固まります。
最初に、血小板がまわりから集まってきます。
次に、血液中と傷ついた血管のまわりからいろいろな物質が出てきて、血を固める反応が始まります
かさぶたのお話です。

まず、最初に血小板が集まることから、見てみましょう。

 
下のアニメを見てください。
血小板が集まる様子を見てみよう。
血管の壁(かべ)に並んでいる細胞がはがれたとき、そこにvWFという物質がひっつきます。
次に、vWFに血液中の血小板がくっつきます。
付着(ふちゃく)した血小板は、さらにvWFに強固にくっつき、別のvWFがくっつくようになります。
 
一方、くっついた血小板の中に、黄色で示した血小板はある物質(ADP)を分泌(ぶんぴつ)します。
このADPは、VWF同志がくっついたり、ピンク色で示した物質にくっつきやすくします。
このようにして、血小板どうしがひっつくようになります。
このアニメの作成に当たっては、柳沢先生が下記のURLで示された図を全面的に参考にしました。
http://hobab.fc2web.com/sub2-kesshoubangyoushu.htm
アニメで示した内容は、柳沢先生が作成されたものから引用していますが、非常に簡略化しているため、
柳沢先生のお考えを歪曲している可能性があります。
詳しい説明を知りたい方は、上記のURLをご覧下さい。
なお、このアニメの元の情報は柳沢先生の著作権に帰属するため、このアニメを転用または引用されることはおやめ下さい。
血小板以外に、血を固めるために働(はたら)く物質って何だろう。
昔、偉い学者たちが血液と血管の周りを調べて、物質を見つけました。見つかった順番に番号を付けました。
13コの物質が見つかりましたが、6番目は間違いのため、ありません。1から13の番号がありますが、実際は12コです。
番号がついた物質がどのように、動くか見てみよう。
お互い、複雑に動いています。
また、血小板のなかの物質も関係しています。ですから、ややこしいです。
2つのみちすじで、12コの物質が動いていきます。
一つのみちすじは内因系と呼ばれ、左側に示しました。もう一つは、外因系と呼ばれ、右側に示しました。
体の中では、これらの2つのみちすじが複雑にはたらき、共通の物質である10番目のものに作用していきます。
それぞれのみちすじでしめした青色の矢印の後、10番目のものが動きます。
最初は、少ない量の因子が動いていますが、反応が進むうちに、たくさんの量の因子が反応していきます。滝(たき)の流れに、たとえられます。
滝ができる最初の水は、少ないですが、したのほうにいくと多量の水になります。
これに似ているんです。
難しいお話でした。しかし、このように、血は固まっていくんです。
12コの物質のうち、8番目がないとき、血友病A、9番目がないとき、血友病Bという病気になります。
生まれたときから、この病気になると、血が止まりません。

それぞれのみちすじで動いた物質は、共通の10番目の物質に働き、
ひきつづき共通の5番、2番、1番と13番が動きます。
これがフィブリンポリマーといいます。
これがたくさんできて、血小板や血液などがくっつき
かさぶたになります。
血液が流れている血管のなかでも、血は固まるだろうか。
大きな骨を折り、骨髄から脂肪が血管内に入ったとき
老化(ろうか)のため血管が硬くなったとき、
病気で血液のなかに細菌(さいきん)がいるとき、
血液が固まるとき、生成(せいせい)されるフィブリンポリマーを溶かす作用も人間は持っています。これで、血管の中でできた血の塊を溶かしています。
溶かす作用以上に、血液の固まりが血管のなかで、できたらどうなるだろう。

心臓のまわりにある血管(動脈)が血の塊でつまります。

心筋梗塞(しんきんこうそく)
これがつまった血管です。血管の中に写真で写るものをいれて、見ています。 血の塊をとり、血管の中を血液が流れました。
脳梗塞(のうこうそく)
矢印のところが黒くなっていません。
つまっています。
心臓(しんぞう)のまわりの血管はつまっても、医学の力で、ある程度とりのぞくことができます。
脳の血管がつまったとき、早ければ、血の塊をとかす薬を使いますが、時間がたつと、なにもできません
脳の血管(動脈)もつまります。