活動電位の話は、解ったでしょうか。活動電位は、
軸索を伝導する 軸索の起始部で発生 遠く離れた神経終末まで伝わる |
すなわち、次の3つの法則に従っています。
1)一度、発生した活動電位は、途中で消滅することはない
2)活動電位は、細胞膜を両方向に伝わりうる
3)活動電位は隣接する神経線維間で乗り移ることはない
おさらいです。下の図は、運動神経と感覚神経を表しています。
さて、日本語の「神経」は杉田玄白らが解体新書を翻訳する際、神気と経脈とを合わせた造語をあてたことに由来しており、これは現在の漢字圏でもそのまま使われています。そのため、解体新書が刊行された1774年(安永7年)以前には存在しない言葉です。
全体の構造からみると、情報の統合のため体正中部に集合して存在する中枢神経系と、中枢外に存在し、個別に線維として認識される末梢神経系とに分けられるようです。
末梢では、繊維(線維)の形態が神経繊維束として明瞭に認められるために、これのみを「神経」と呼ぶことも多いです。
中枢神経系における神経細胞の軸索の長さは数ミリメートル〜1センチメートルくらいが平均的です。 細胞体の直径が平均で10ミクロン程度ですので、それに比べれば、十分長い突起を伸ばしていることになります。
運動ニューロンでは、大脳の神経核から下方に下り、感覚ニューロンでは、感覚細胞から活動電位が発生し、感覚ニューロンの樹状突起が、これを受け取ります。ともに、活動電位の流れは、一方向です。
神経細胞 神経機能の主役です。
神経細胞は、細胞体または核周部と呼ばれる部分と、突起からなります。
突起には、軸索と樹状突起があります。
神経細胞は、突起の数で、その形態が決まり、どのような処理をするかが決まります。
突起の数が1本は単極性
細胞体のほぼ反対側から2本でる双極性
3本以上あるものを多極性といいます。
細胞体から出た一本の突起が、しばらくして2つに分かれものは、一見単極性に見えるため、偽単極性といいます。
運動神経は、多極性が多く、感覚神経は、双極性または偽単極性が多いです。 |
単極性の神経細胞は、下等動物に多いんです。
下のURLをみると、脳神経の一部分のことがすこし、解ると思います。
http://medicalanime.jp/BrainAndNeuron/12brain%20nerve/index.html
次に、
簡単な神経細胞の構造です。
形は、いろいろです。
紡錘形 錐体形 顆粒形もあります。
大きさもさまざまです。 直径5umの小脳顆粒細胞から、135umの大脳皮質錐体細胞まであります。
神経細胞の構造の中身ですが、 核には、核小体がはっきりと見えます。リボソームRNAの合成場所である核小体がはっきり見えることは、タンパク合成がさかんであることをしめしています。
参照元 http://www3.kmu.ac.jp/anat1/old/edu/histology/general/cell/08.html
リボソームRNAとは、なんでしょうか。
RNAには、tRNA、mRNA、rRNAの3種類があります。https://sato-ayumi.com/2019/06/06/rrna-mrna-trnadifference/
rRNAは、tRNAとmRNAが間違いなく動いているかをチェックします。上にあるURLでは、おもしろく解説してあります。
さて、傷害された神経細胞は再生するでしょうか。
中枢神経(厳密には、脳と脊髄、嗅神経、視神経)と末梢神経(脊髄神経とその神経節、嗅神経、視神経以外の脳神経)の神経細胞体が、傷害された場合、中枢・末しょう共に再生しません。
嗅神経と視神経は脳幹から分岐していない脳神経です。
嗅神経と視神経は、歴史的に末梢神経に含まれていますが、間脳に由来する中枢神経系と考えられています。
末しょう神経の場合、
神経細胞体が正常で問題なく、軸索が障害されたときは、この軸索が再生されるそうです。 |
再び軸索を伸ばして目的細胞との結合を回復できることが多いです。これを軸索再生といいます。その過程には、基底膜やシュワン細胞の関与が必要です。
中枢神経の場合、細胞体が正常で問題なくても、傷害された軸索は再生されないようです。 |
参照願います。https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%BB%B8%E7%B4%A2%E5%86%8D%E7%94%9F
さて、病気について一言。
中枢神経と末梢神経は髄鞘を作る細胞が違 い,髄鞘構成蛋白が異なります。つまり、中枢神経系で髄鞘を作る細胞は乏突起膠細胞 (オリゴデンドログリア,オリゴデンドロサイト)です。末梢神経系ではシュワン Schwann 細胞です。
作る細胞が違うから,当然,中枢神経の髄 鞘と末梢神経の髄鞘は蛋白組成が全く異なり,抗 原組成も違います。 このことは,たとえ ば同じく髄鞘をターゲットにする自己免疫が惹起 されても,標的となる抗原が中枢神経系のみに存 在すれば中枢神経系の疾患(多発性硬化症など) を起こし, 末梢神経髄鞘に特異的な物質であれば 末梢神経系の病気(ギラン・バレー Guillain-Barre 症候群など)をきたすという相違になってあら われます。 |
詳細は下のURLで、
さてさて、神経細胞の新生について、考えたことがありますか。
再生と新生は、違いますね。 |
私たちのからだの色々な臓器では、毎日、古くなった細胞が死んでその代わりに新たな細胞が生まれています。また、臓器が損傷するとそれを修復するため、普段以上に活発に細砲が生まれてきます。これに対して、生後は脳の神経細胞はいったん死んだら補われることはないと以前は信じられてきましたが、1990年代に入り脳内でも神経細胞が新生していることが明らかになりました。なかでも脳内にある海馬の歯状回と呼ばれている部位では、
正常な脳でも神経細胞の新生が毎日起こっていることがわかってきました。 |
若いネズミでは1日に数千個の神経細胞は歯状回で生まれ、ネズミほどではありませんが、ヒトやサルなど霊長類の動物でも神経細胞が新生します。
実験用のネズミを、常にいろいろな学習ができる条件下、たとえば比較的広くて色々な刺激のある環境の中に集団で飼育すると、神経細砲の新生が格段に多く起こるようです。また、単調な環境内で個別に飼育していても、一定時間運動をさせたり学習等記憶課題を行わせれば神経細胞の新生が増えるようです。
逆に、歯状回の神経活動を衰えさせるような操作、うつ病のような状態にしたり、放射線を照射すると神経細胞の新生は減少します。
つまり、神経細胞の新生は、神経系の活動の程度に依存して増えたり減ったりするようです。
これらのことから、新たに学習や記憶を習得・形成する際には、新生した神経細胞が既存の神経ネットワークに組み込まれ、より多くの情報を保持・処理できるようになるという仮説が提唱されています。
歯状回とは、どこでしょうか。
http://medicalanime.jp/BrainAndNeuron/hennennkei/index.html 当方のホームページを見てください。海馬近傍に歯状回がみれます。
次に、 情報伝達
神経とは、動物に見られる組織で、情報伝達の役割を担います。
脳神経系の構成単位である神経細胞は、通常は1本の長い軸索と複数の複雑に枝分かれした樹状突起を細胞体から伸展しています。神経細胞間の情報伝達は軸索と樹状突起で構成されるシナプスを介して行われています。
情報の流れる方向は、細胞体から軸索への一方向です。
シナプスでは、軸索からの情報は、樹状突起にながれ、次の神経細胞が情報を引き継ぎます
引用元
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news6/2012/120613_3.htm
シナプスと神経伝達物質
神経系は、多くのニューロンが信号という形で、情報をやりとりすることで、様々な機能を発揮しています。特に、脳と脊髄から構成される中枢神経系には千数百億個ものニューロンが存在します。
シナプスの構成は、信号の送り手側のシナプス前細胞の神経終末、受け手側のシナプス後細胞、両者間のシナプス間隙(20〜50nm)で成り立っています。
神経の種類といろいろな伝達物質??? |
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中枢神経間での情報伝達には、シナプスで様々な神経伝達物質が動いています。あとで、説明します。
まずは、
末梢神経のうち遠心性神経である運動、交感神経、副交感神経の神経伝達物質は、主に、アセチルコリンで、場合によって、アドレナリン、ノルアドレナリンです。神経終末部では、シナプスがあります。特に、神経骨格筋接合部は代表的なシナプスです。
一方、求心性神経、つまり、感覚神経では、感覚を感じる部分で神経伝達物質を介して信号は伝達しません。シナプスもありません。様々な感覚受容器では、様々な適切刺激で、陽イオンチャネルが開き、脱分極が生じ、神経内を活動電位が伝導していきます。
運動神経の場合
、
感覚神経の場合、
運動、感覚神経にも、シナプスがあります。
このシナプスでは、化学伝達物質があり、信号である電気的な活動電位を、化学的な物質に変換し次へ信号を伝達しています。
電気的な活動電位という信号 |
シナプス で
化学的な神経伝達物質という信号 |
なぜ、化学物質に変換しているのでしょうか。
活動電位のまま、信号を伝達すればいいのでは??
化学シナプスの有利な点