神経伝達物質

神経伝達物質は、中枢神経と末梢神経で、異なります。

まずは、末梢神経について、考えます。

       末梢神経での伝達物質

 

末梢神経としては、運動神経、交感神経と副交感神経を考えてみます。

アセチルコリンという物質が、大きな役割を果たしています。

運動神経は、筋肉を動かすとき、神経末端と筋肉が接する部分、つまり、神経筋接合部で、アセチルコリンを放出します。

交感神経と副交感神経では、節前線維でアセチルコリンがすべて働き、汗の分泌に関係する交感神経の節後神経のみで、ノルエピネフリンが放出されます。これ以外の交感神経の節後神経では、アセチルコリンが放出されます。

 

 

 

次に、感覚神経です。これも、末梢神経です。

感覚器、つまり、皮膚で痛い、熱い冷たい、触るなど、眼で見ること、耳で聞くなど感じる方法は、様々で、伝達物資もいろいろあります。

例えば、皮膚では以下の図のように、感覚器がいくつもあります。

 

 

 

 

 

参照元:https://www.kango-roo.com/learning/2411/

 

 

 

 

 

感覚器で感じた刺激によって、感覚神経内では、活動電位が発生し、伝導していきます。

感覚神経が脊髄に連絡しシナプスを作り、シナプスを介して脊髄内の神経線維(2次ニューロンといいます)が脳まで上がり、各所の脳で感覚を感じるようになります。このシナプスでは、伝達物質が放出されます。

下のアニメは、痛覚神経をあらわしています。脊髄内のシナプスで、放出される神経伝達物質は

グルタミン酸です。

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それでは、アセチルコリンがどのように、シナプスで活躍しているかを見てみます。運動神経でみてみます。

下のアニメは、シナプスの前にあるニューロンを表しています。

 

アセチルコリンは、シナプス前ニューロンで、袋(小胞)の中に赤くあらわしたものとして、蓄えられています。

まずは、活動電位がこの神経終末部に、伝導の仕組みで、伝わってきます。赤い矢印です。

神経終末の膜に、活動電位が伝わると膜が脱分極します。

膜にある電位依存性Caチャネルは、脱分極により、開きます

Ca+イオンが濃度勾配に従って、神経終末内に流入します。

神経終末内のCa+イオン濃度が上昇することで、シナプス小胞がシナプス前膜にくっつき、アセチルコリンがシナプス間隙に放出されます。

アセチルコリンがシナプス後膜にある神経伝達物質受容体にくっつくことで、受容体が活性化し、シナプス後膜のイオン透過性がかわり、膜電位もかわります

このシナプスで、

活動電位という電気的信号が、アセチルコリンという化学信号に変換され、再び、電気信号に変わっています。

 

地球上に生きる生物の為せる技でしょう。地球という自然の産物です。

 

 

この写真は、シナプスの前後の神経、神経終末にある小胞などを表しています。

 

 

 

 

 

 

 

http://www.nips.ac.jp/sp/release/2018/02/post_358.html

掲載元:自然科学研究機構 生理学研究所

次に、シナプス小胞は再利用されます。つまり、放出されたアセチルコリンを、再び貯蔵することで、再利用します。

 

   シナプス小胞が、神経終末部の細胞膜にくっつき、アセチルコリンを放出後、

小胞は、速やかに細部内に回収されます。

つまり、蛇のようにのびた物体(エンドソーム)に、小胞が取り込まれます。

エンドソームから、新たなシナプス小胞が出がします。

ここに、アセチルコリンが充填され、貯蔵されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このように、運動神経では、単純に、一つの神経に対して、一つの筋肉繊維が対応し、動きます。

 つまり、動かすことが多いわけで、

末梢神経での伝導は、おおむね、興奮性の伝導

です。

しかし、一部には、アセチルコリンは、ニコチン受容体に結合するとシナプス後細胞を興奮させますが、ムスカリン受容体はサブタイプによって興奮作用を示すものと抑制作用を示すものがあります。

 それでは、中枢神経ではどうでしょうか。

3つの特徴

1)末梢神経と異なり、1つのニューロンにたいして、多数のニューロンがシナプス結合し、信号を送っています。

2)神経伝達物質が多数。それに対し、複数の種類の受容体があります。同じ神経伝達物質でも、受容体の種類が違うと、異なる応答を起こします。

3)興奮性と抑制性のシナプス伝達が存在します。興奮性は、シナプス後の神経が興奮し、筋肉が収縮するように、受容体の部位が大きく反応します。抑制性シナプスでは、興奮している状態から、沈める方向に動きます。

          
表. 主な興奮性伝達物質と興奮性ニューロンの分布
末梢神経系
アセチルコリン 運動神経、交感神経節前線維副交感神経
ノルアドレナリン 交感神経節後線維
中枢神経系
グルタミン酸 中枢神経全般
(以下は脳の広範囲に投射し、神経機能を調節)
アセチルコリン 前脳基底部中脳橋被蓋
ドーパミン 黒質緻密部、中脳腹側被蓋野など
ノルアドレナリン 青斑核外側被蓋
アドレナリン 孤束核、背側縫線核
セロトニン 縫線核

 

 

 

 

 

 

 

 

中枢神経での伝達物質