腎不全と尿中排泄酵素の関係について

1989年、医学博士論文を作成しました。腎臓についての研究でした。麻酔中、気になるのが、腎機能でした。1980年代は、腹部外科の術中の輸液は、最初の1時間、体重1kgあたり10ml、次の1時間は8ml、次は5ml程度と教えられたものです。一方、消化器外科医は、なるべく、術中に水を入れてくれるなと言っていました。なぜなら、術後、低圧の肺に水分が移動し、呼吸状態が悪くなると考えていたようです。2時間の胆嚢摘出術で、外科医は、無尿でいいと言いましたが、とても、賛同できるものではありませんでした。麻酔科医は、血圧が下がるのがよろしくないと考えていました。麻酔中は、臓器血流を維持することが重要であったため、麻酔薬で血管が拡張し、潅流圧が下がった分を、水分量で補うことが大事と考えていました。いくつかの臓器の中で、腎臓は、自動調節能があるとはいえ、麻酔薬で血圧がさがったとき、影響を強く受けていたようです。そこで、低血圧麻酔中とか開心術の麻酔中で、腎機能を調べました。特に、近位尿細管細胞がどの程度障害されるかを見ました。ウサギを使った実験と通常の全身麻酔でのデータも集めました。臨床データと動物実験のデータをお見せします。

臨床論文です。

手術中の尿中酵素NAGとγ-GTP排泄についての検討(1986.2.26)

低血圧麻酔の周術期腎機能への影響(1993.8)

低血圧麻酔中の腎尿細管細胞障害について

尿中酵素排泄よりみた体外循環中の近位尿細管細胞障害の可能性(1986.2.26)

動物実験データです。